テレビアニメペルソナ4第12話「It’s Not Empty At All」を見て、悠と陽介に腐ってしまいました。そんなネタでお送りします。BL要素がありますので、お嫌な方は入室しないでくださいね。
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居心地の良い距離
arisa
大学祭シーズン到来。
陽介の大学でも学部ごとに計画が出された。
「商学部はスイーツの店を立ち上げようと思います。詳細はプリントの通り」
実行委員会が開かれていた。陽介は2年生代表として参加していた。
だが。
「花村の家ってジュネスなんだって?」
「はい?」
「いや、仕入れとか担当してほしいんだけど。なるべく利益あげたいから、原材料を安く入れて欲しいんだよ」
陽介は驚いた。まさか、大学に入ってまでジュネスの力で何とかしてほしいと言われるとは。
「いや、俺の親父が八十稲羽店の店長だっつうだけで、ここら辺のジュネスと係わりがあるわけじゃないですよ?」
と訴えるが、実行委員長が
「でも、何にも縁のない俺たちが交渉するよりは、割引率とか多少色を付けてもらえるんじゃないか、と思ってさ。何とかならないのか?」
と言いだす。他の委員もうんうんと頷く。
唸る陽介に、頼み込む委員長。
「頼むよ、花村。何とか」
陽介は、ふう、と一つ溜息をついて、言った。
「解りました。父に訊いてみますよ。でも、あまり期待しないでくださいよ?」
「助かる!」
「よろしくね、花村くん」
一気に会議室の雰囲気が明るくなった。陽介は正直どうにかなるのかも解らず、もう一度溜息をついた。
「ただいま~」
陽介が家に戻ると、中から悠が出迎えた。
「お帰り、陽介」
「悠、今日は早かったんだな」
と陽介が言うと、悠は微笑んで、
「うん、今日は午後から休講だったんだ」
と言った。
「晩飯、できてるからすぐ手を洗ってきて」
「ホント?やった!」
悠の言葉に陽介は喜んで洗面所に向かった。
「サンマが安かったんで、かば焼きにしてみたよ」
と悠が言う。果たして、テーブルにはサンマのかば焼きが大皿に。そしてごはんは丼飯。豆腐とわかめとねぎの味噌汁付きだ。野菜っ気が少ないが、その分野菜ジュースがグラスで添えられている。
「うんまい!」
陽介が一口食べて喜ぶ。甘辛いタレの味にご飯が止まらない。
陽介と悠はガツガツと夕食を食べた。
「ごちそう様!やっぱ悠の飯は旨いぜ」
陽介は元気よく立ち上がる。悠も立ち上がって、自分の分の食器をシンクへ運ぶ。
「旬の物を食べるのは、体にもいいしね。でも陽介の口にあうとは光栄の至り」
「うん、自分で作るよりも旨いから、ホント」
と重ねて褒めると悠は嬉しそうに微笑む。
「陽介、お茶飲む?」
「うん、でも先に洗い物やるから、少し待ってて」
「オッケー」
悠は二人分の緑茶の用意を始めた。陽介は二人分の食器をさっと洗って水切りかごに突っ込む。乾いたら棚にしまう予定だ。
「終わったぜ、洗い物」
自分の手を洗っている陽介に悠は
「陽介、良いんだよ?食洗機入れても」
と声をかけた。実際互いに忙しいときにはあった方がいいだろうと思っていたのだが、陽介はニッと笑って言った。
「いや、いいって。たかだか二人分の食器だろ?チャチャっと洗えばいいから。もったいないだろ、高いし」
「…陽介が良いなら、良いけど」
「良いんだって」
陽介はソファに座ってリモコンでテレビを付けた。
「ニュースにしてくれる?」
急須にお湯を入れながら、悠が言う。
「おう」
陽介は国営放送のチャンネルに合わせた。すると、
『稲羽市では、十月二十四・二十五日の二日間、地域の商店街と大手スーパーが共同で、地域の生産物を使った地域産業祭を行います』
というローカルニュースが出て、二人は思わずテレビに釘付けになる。
『二年前に第一回が行われた、この産業祭は、今年から稲羽市役所の地域振興課が全面協力し、周辺地域からも出品される予定です』
ジュネスの催事場を借り切って、稲羽市の町おこしイベントを企画しているようだ。
「へえ、凄いな」
悠が驚く。陽介も
「街の活性化、進んでるんだな。すげえ」
とつぶやく。
『協賛している大手スーパーでは…』
ジュネスの八十稲羽店が大写しになり、二人はテレビから目を離せない。商店街の幹部に続いて、陽介の父がインタビューを受けている映像が流れて、陽介は驚く。
「うわ、全国放送だよな、これ。親父映ってる…」
悠は陽介の父を初めて見た気がして、
「これが陽介のお父さんか」
と言った。陽介は笑って
「あんま似てないだろ?ガン見しないでくれよ…」
と悠に言う。悠は照れてる陽介を可愛いと思う。
「行ってみる?夏休みに帰ってから連絡取ってないだろ」
悠は陽介の顔を見て言う。
すると陽介は残念そうに、
「この日、うちの大学の大学祭だから、無理だな」
と言った。
「そっか、しょうがないな」
悠は少しだけがっかりしたが、陽介の大学の行事ならしょうがない。それに、自分の大学の大学祭もその一週間後にある。その準備が始まったら、自分も忙しくなるだろう。
悠は改めてお茶を入れ、ソファに座ってテレビを見ている陽介に一つ手渡した。陽介はそれを一口すする。
「陽介の学部は何をやるの?」
と悠は尋ねた。すると、陽介の表情が変わった。
「やべ、思い出した。親父に連絡取らないと。悠、悪ぃ!」
急に陽介は立ち上がり、湯飲みをテーブルに置くなり悠の前から消えた。
二人の住んでいるマンションは、各自一つずつ自分の部屋があり、その他にLDKと洗面所があるタイプ。相手に関係ない電話などの用事は各自の部屋で行うように二人で決めた。
だが、陽介のことを尋ねた途端にいなくなるとは。
せっかく二人でゆっくりできると思ったのに。
悠は少しだけ面白くない。
悠は自分の行動原理を自覚していた。
陽介を喜ばせたいのだ。
惚れた弱みとでも言おうか。
陽介が喜ぶかもしれないと思ったら、即行動に移すし、口にしてみる。陽介の顔がぱあっと明るくなってオレンジ色の花が見えるようになったら、自分も嬉しい。
だが、今、陽介は自分のことで忙しいらしい。
解っていても、心がしおれる悠だった。
この状態には、覚えがある。
『陽介欠乏症』だ。
離れている時間が多くなると、胸の奥に穴が開いたような空疎な感じがする。
「また、か…」
悠は自覚していたことを再確認して、ため息をついた。
目の前に陽介の分の湯飲みが湯気を上げていた。
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こんな感じで続きます。
よろしくお願いいたします。
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