Y2 WEAK POINT【創作】 忍者ブログ
テレビアニメペルソナ4第12話「It’s Not Empty At All」を見て、悠と陽介に腐ってしまいました。そんなネタでお送りします。BL要素がありますので、お嫌な方は入室しないでくださいね。
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今、外で雷が鳴っております。
雷と言えば陽介にとっては弱点の属性なわけで。
何か雷怖い陽介って可愛いかも・・・。

って思って今、突発的に書いてみました。

BL大丈夫な方のみ、「つづきはこちら」からどうぞ。






遠くで空気が低いうなりを上げていた。
最近、ゲリラ豪雨なんて珍しくない。だが、雷を伴う雨だと、さすがに不気味。
授業が終わると、空が暗くなってきて、光と音が味覚以外の五感を刺激する。

「相棒!今日は何か予定あんの?」
陽介が声をかけてきた。
「天気悪いから、今日は早く帰ろうかと思って。菜々子も心配だし」
と言うと、陽介は心なしか力を落としたように見える。
「何か用事があったのか?」
と問いかけると、
「いや、菜々子ちゃんのが大事だろ、俺のは良いから」
と言って立ち上がろうとする。俺は、なんとなく、深刻な雰囲気を感じ取って、
「待て、陽介、一緒に帰ろう」
と言った。陽介は少し笑顔になって
「ああ、帰ろうぜ」
と言った。


傘に落ちたりしないだろうか?
そんな心配をしながら、俺は陽介と肩を並べて歩く。
「な、何か、雨のつぶが大きいような気がするよな」
「そうか?」
「まだ3時過ぎだっつうのに空真っ暗だし」
「そうだな」
陽介の言葉に相槌を打ちながら途中まで一緒に歩く。やがて、陽介と違う方向に別れる道まで来た。
「と、ここまでだな。また明日、陽介」
と声をかけると、陽介は、意を決したように
「悠!悪いんだけど、おまえんち行って良いか?」
と言い出した。俺は少し驚いた。普通は自分から俺の家に来るなんて言うヤツじゃないからだ。
誰にも内緒だが、陽介と俺は友情以上のものを育てている。
だから嬉しい。だが、ことはそう単純ではない。
「え?どうして?」
と尋ねると、陽介は困ったような顔をして、
「今晩、親父とおふくろ、二人そろって親戚の関係で出かけてて、家に誰もいなくてさ。だから、どうせなら、と思って」
と言った。俺としては好都合だが、本人にその気はあるのだろうか?
「陽介?俺の家に来るってことは、それなりに覚悟してるってこと?」
と問いかけると、途端に陽介は顔を真っ赤にする。
「えっと、それはだな。その、えっと」
うろたえながら言葉を探す陽介に、俺は笑う。
「解った。良いよ」
そう言ったなら、陽介の顔がぱあっと明るくなった。
「ホントか?良かった!」
オレンジ色の花が飛ぶのが見えた。
こんな顔をされちゃたまらない。
俺は傘を斜めにして、さっと陽介の唇を奪った。
「?!」
陽介が目を白黒させている間に、俺は再び歩き出す。
「陽介、おいてくぞ?」
「ま、ちょっ、何なんだよ?悠!」
とっさに起きたことについていけない陽介が、あとから靴音をピチャピチャさせながら走ってくる。
俺の顔は緩んでいることだろう。鏡は今は見ないでおこう。


「ただいま~」
と言いながら戸を開けようとしたが、鍵がかかっていた。
「あれ?まだ菜々子帰ってきてないのか?」
と言いながら鍵を開ける。
「お邪魔しま~す」
と陽介も茶の間に入ってきた。
だが、本当に誰もいないようだ。
「高校より小学校のほうが遅く終わるとか、ねえよな?」
すると、電話が鳴った。受話器を取って
「はい、堂島です」
と話す。相手はおじさんだった。
「おう、おまえか。菜々子な、今署にいるんだが、雨がひどいから、俺の帰りに一緒に連れて行く。あと1時間くらいで仕事上がれるはずだから、悪いが夕食はジュネスの弁当を買って帰るから、それまで待っててくれ」
「解りました」
電話を切ると、ちょうど、陽介がそばにいた。
「おじさんと菜々子、あと1時間くらいで帰ってくるって」
と言ったら、何だか元気がない。
「そっか…」
何か、エロいことする雰囲気じゃないな、と思うが、俺的には、そんな陽介も好きだから、良いか。
「俺の部屋、来る?」
「……うん」
と何だか浮かない顔で陽介が頷いたときだった。
窓の外がピカッと閃光が走るように明るくなったと思ったら、すぐに
ゴゴゴゴゴゴロゴロゴロ、ドン!と音がした。
「うわあっ!!!」
陽介が俺に飛びついてきた。
いきなりだったので、俺のほうもふらついてしまい、陽介を抱きとめるのが精いっぱい。
鞄を放り投げてしまった。
「陽介?」
と腕の中の陽介に声をかけるが、顔を完全に俺の肩に押し付けている。
「もしかして、雷が怖い?」
と声をかけると、陽介はこくこくと首を縦に動かした。
「前はそうでもなかったんだけどさ、俺のペルソナ、雷を食らうとダウンするだろ?現実の雷も食らったら感電死するかもしれないって思ったら、怖くてさ。でも、今日俺の家誰もいないから、一人で雷に耐えるのが嫌で…」
と早口でまくしたてる陽介の肩がかすかに震えて、本当に怖いんだ、と俺は確信した。
「大丈夫、俺がいるから」
と言いながら、陽介の髪をなでると、陽介は恥ずかしそうに、でもほっとしたように、俺の腕の中で力を抜いたようだ。
でもしがみついた手は離れない。
俺は、陽介から抱きついてきて離れないというこの状態が嬉しくてたまらない。
だが、おじさんたちも割とすぐに戻ってくるだろうし、エロ方面にはいかないように心をおしこめた。
「陽介、大丈夫だから」
そう繰り返しながら、陽介の体を抱きしめた。
「サンキュな、悠。こんなかっこワリィ自分、おまえにしか晒せないからさ」
「うん、わかってる」
陽介の体や髪やにおいを腕いっぱいに感じながら、俺は雷が遠ざかるのを待った。
俺にとってはとても幸せな時間。
陽介の心も落ち着けばいい、と思いながら、陽介を抱きしめ続けた。


どのくらい、時間がたっただろう。
「ただいま~」
「今帰ったぞ」
とおじさんと菜々子が帰ってくるまで、俺たちは抱き合っていた。
慌てて、腕をほどき、離れる。離れても幸せな陽介のぬくもりが腕に残っている。
「あ、お邪魔してます」
陽介は律儀にご挨拶。
「陽介兄ちゃんだ!」
菜々子は無邪気に喜ぶ。
「おじさん、陽介、泊めてもいいですか?今晩、家に誰もいないそうなんです」
と切り出すと、
「おう、いいぞ。おまえの部屋で、うまく布団敷いてやってくれ」
と言われ、俺はほっとした。
「ありがとうございます」
「お世話になります」
二人で礼を言うと、菜々子はもっと喜ぶ。
「いっしょに遊ぼうね」
「もちろん」
「まずはごはんだろ」
と言いながら、おじさんがジュネス弁当を広げた。
おかずの盛り合わせだったので、ジャーに残っていたごはんを茶碗に盛りつけ、インスタントの味噌汁をつけた。
4人で囲む食卓はいつもより嬉しい。
「いっただっきまーす!」
菜々子の声が大きく響いて、しばし、雷のことは忘れて。
だが、お風呂を交互に入って、俺の部屋に二人で過ごす。布団を敷いて、いざ泊まるとなると、陽介の様子がおかしい。
「なあ、悠」
「なんだ?」
俺は内心のウキウキを抑えながら、陽介を見た。
「やっぱ、迷惑?だよな」
「そんな風に見える?」
陽介は不安そうな、申し訳なさそうな、上目使いで俺を見てくる。
「むしろ、俺としては大歓迎。襲いたくなるのを抑えるのが大変だけど」
と言うと、
「いや、そこはスルーしたげて」
陽介が懇願しながら俺に近づくから、俺は余計に陽介を抱きしめたくなるけど、おじさんも菜々子も家にいる状態ではあまり派手なことはできない。
「うん、良いよ」
と優しく告げたなら、陽介は本当に安堵したような表情に変わった。
「キスくらいは許して」
「ん…っ」
俺は陽介の口の中を舌でなぞるようにしながら、何度も唇を重ねた。陽介の顔が赤らんでくる。
名残惜しそうに唇を離すと、陽介は本当に可愛らしい反応をするから困る。
顔を逸らすけど、その頬が赤くて、可愛いと思う。
「陽介、雷が怖いのは悪いことじゃないよ。本当に命に係わることだし」
と話し出すと、陽介は俺の顔を黙ってながら、唇を尖らせた。
「だって、情けないつうか、おまえもペルソナが一択なら弱いところも解るのに、付け替えられるだろ?おまえばっかり良いよな。ずりーよ」
ああ、そうか。陽介。おまえは俺の弱みを見つけてないんだな。
俺が優位であることには変わらないけど、少し、陽介を安心させても良いか。

「俺ばっかり、弱みさらけ出してるって思って、おもしろくないんだよな?」

そういうと、陽介は図星だったようで、あわあわしだす。
「んな、そうじゃねえし」
「俺のウイークポイント、知りたい?」
と柔らかく微笑むと陽介はとたんに目を輝かせる。本当に解りやすい。
つうか、解っていてほしくなった。

「俺のウイークポイントは…」

と言いながら、指をさす。陽介の顔をまっすぐに。
「俺?」
陽介は自分の顔を自分で指さしながら、驚いた後に目が点になる。
「ウソだ」
「ウソじゃないよ」
「だってさ、俺」
「本当だって」
何度も陽介の顔が赤くなったり青くなったりしている。
「本当だって。陽介は解ってないだけだ」
と言いながら、陽介を抱きしめる。
「テレビの中で自分が死ぬような目に合う戦いでも、いつも陽介が無事か気にかけてる。おまえがやられるようなことにならないように、実はいつも補助魔法を使えるペルソナを待機させてるし」
陽介はまだ不満げだ。俺は畳み掛けるように、気持ちを晒す。
「だって、それは戦う仲間だから…」
「それだけじゃないよ。陽介と過ごす教室でも、いつも後ろのこと気にしてる。陽介のいる方向に意識が行くんだ。どんな気持ちでいるか、とか。軽いストーカー気分だよ」
「…」
「陽介、もう、俺にとって、陽介の存在は、弱み以上」
「…」
一度息を大きく吸って、言うと決めた言葉を発する。

「今、この世で、一番大切な存在だよ」

「…」
陽介の反応がないので、顔を覗き込む。
「…」
今度は俺が無言になった。
陽介は、寝ていた。
俺は今目が点になっていることだろう。
そして、声を殺して笑った。
一世一代の告白をしたのに、聴いてないとか。ないよな、普通。
「さすが、ガッカリ王子」
俺は起こさないように布団に陽介を押し込んで、自分はソファに横になった。
笑いがこみあげてくるが、明日も平日だから遅くならないうちに眠ろう。
ちゃんと、明日も、陽介と一緒に。
過ごせる毎日を守りたい、と本気で思う。
「おやすみ、陽介…」
そう呟いて、俺は目を閉じる。
いつの間にか、雷は遠ざかっていて、雨の音もしない。
きっとぐっすり眠れるだろう。


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「弱み」を題材にラブラブな二人を書いてみました。
何かこんな、本人たち気づいてないけどイチャついてんじゃねえよ、こちそうさま、みたいな気持ちになっていただけたら幸いです。

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